木村弘子開発者がブータン訪問 2014.03.19

 2月4日から13日まで、木村弘子開発者がブータンを訪問しました。
 今回の訪問は、昨年首都ティンプーで開催されたセミナーで土壌浄化法の技術を知った政府関係者から、首都ティンプーのバベサ下水処理場を土壌浄化法で改修した場合にどのようになるかを、説明して欲しいという要望に応えてのものです。
 今回の訪問に先立ち、40ページに及ぶパワーポイントの資料を作成しました。。英訳は土壌浄化法とブータンの橋渡し役・プブテンジン高橋さんです。バベサ下水道処理場の改修計画の図面や建設金額等は木村恭彦が作成しました。

 バベサ下水処理場は現在、処理限界を超え、ただ汚水を貯めておくだけで臭い悪臭が発生する場所になっています。ブータンでは早期に解決を図るために、アジア開発銀行からの融資を受けて、SBR(回分式活性汚泥法)による、改修計画を進めている最中です。
 しかし、提案されている処理規模と金額が大きく、具体化が出来ない状況になっていました。
 土壌浄化法は小規模が可能な下水処理技術です。無理して大規模にせず、それぞれの地域で地形を生かした下水道計画にして処理場を建設する方が効率よく、増築も可能です。第1期工事として5,000m3規模の下水処理場の改修計画を、提案しています。

パワーポイントよりバベサ処理場と改修後イメージ図

○ツェリン・トブゲイ首相にお会いしました。
首相(中央左)と記念撮影
 首相とは、30分間時間をいただき、土壌浄化法についての説明をさせていただきました。説明に実に熱心に耳を傾けて下さり、バベサ処理場がきれいな公園のような場所にできることに驚かれました。昨年2月のセミナーについても、「もっと早く知りたかった。いつからやるの?」と反応を示されました。



○キンレイ・ドルジ市長にお会いしました。
キンレイ・ドルジ市長
 キンレイ市長は、私たちの訪問を待ち構えておられたようです。私たちが招き入れられた市長室には、市の下水関係の幹部が勢揃いして私たちの説明に耳を傾けてくれました。なお、この説明の場には王室学院宮内庁の部長も同席されました。王宮にとってもこの問題は重要テーマになっていることを伺わせました。
 パワーポイントを使い説明し、特に技術としての内容の確認が行われました。会津坂下町から借用した模型は、芝生の下に汚水槽が設置される状況を確認する事ができるために、幹部の皆さんも熱心に模型を見られていました。
 土壌浄化法は、沈殿分離槽と接触酸化槽の組合わせになっているために、簡素な装置である事を伝える事ができ、コンクリートやろ材としての毛管礫の確保もブータンで確保できる資材と思っていただけるようです。
 市長から「河川の向こうの地域はそこで処理できないかと思っていたので、1,000m3/日 規模だとどの位の建設金額になるのですか?」という質問が出てきました。ブータンは、これから下水道整備を行う国でしたので、土壌浄化法はお役に立てると確信をいたしました。

○教育省では、新しい学校に土壌浄化法を検討したい
中央左がソナム建設部長
右がキンレイ・セリエ副部長
 昨年度の訪問でお世話になった、ブータンの教育省を訪れました。
 久しぶりに部長と次長にお目に掛かり、「アジア開発銀行からの工法が変更される事を期待している」と言って下さいました。部長も副部長も日本を訪問して、会津坂下町と身延町の土壌浄化法の施設を見学されていますので、バベサ処理場には、土壌浄化法がぴったりと思っていただいています。
 又、教育省が来年度学校を12校建設されるとの事でそこの排水問題を土壌浄化法で解決したいと言われました。「学校ごとの排水量がわかれば、資料を作成します。」と言って再開を約束してお別れをしました。

○農林大臣からは、トレッキングの場所のトイレを整備してそこに土壌浄化法を
イィシエ・ドルジ農林大臣
 農林省は、トレッキングに訪れる観光地のトイレを担当されている省で、拠点になる場所のトイレを整備したいという意向があり、沈殿分離槽とニイミトレンチは無動力ですので、それはトレッキングの拠点にぴったりと言われました。規模がわかれば、建設金額を提示します。と言ってきました。
 農林大臣は、プブテンジン高橋さんと同じ学校との事でとても和気藹々とお話をして下さいました。



○内務文化省からは、ブータンのゾンの排水問題解決に土壌浄化法を
内務文化省文化事業部
リンジン・ペンジョル部長
 ブータンはゾンといわれる伝統建築の場所が、国民の方々の象徴的な場所になっています。
 ブータンは、建物を建築する場合は、伝統建築にする事が義務付けられていますので、街全体の雰囲気は独特のものがあります。又、着用する衣装も男性はゴ、女性はキラという民族衣装の着用が義務付けられていますので、ゾンを訪問するとゆっくりと流れる時代を感じる事ができます。
 ゾンの便所の改造と、建物からの排水の処理は、そのような場所であるからこそ、早急な整備が求められています。

○観光局長からは、観光地の水洗トイレ整備に土壌浄化法を
チミイ・ペム観光局長
 観光局は女性局長で、ブータンの重要な観光産業を女性が支えていました。ブータンの観光は、国を挙げて進めている状況で飛行機も国が持ち、1日250ドル(季節変動あり)と均一料金の中で、国への観光税、ホテル代、三食の食費、車、運転手、通訳とすべてを含んだ旅行になっています。
 観光地のトイレは観光局の担当で、来年度数ケ所の場所で水洗トイレを整備したいと言われています。





ブータンの環境問題を土壌浄化法で解決したい。またの訪問を確信して帰国しました。